「糖尿病は治らない。」って本当?
- 2022年11月21日
- 糖尿病
いつもブログを読んで頂いて有り難うございます。
日根野駅前の糖尿病内科「しまだ健やかクリニック」院長の島田です。
糖尿病と診断された患者様から治療中の患者様まで良く聞かれる質問です。
「先生、糖尿病に治らないって本当ですか?」
「血糖値が下がったけれど、糖尿病じゃなくなったってことですか?」
答えは残念ながら「糖尿病は治りません。」です。
血糖値が正常の範囲で落ち着かれても、もし気持ちが緩んだり、
周囲の環境が変わり、食べ過ぎてしまうとまた血糖値が上がってきます。
糖尿病は血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの膵臓からの分泌量が少ないことと
食べ過ぎや運動不足からの肥満によりインスリンの働きが悪くなることが組み合わさって起こります。
日本人は欧米人に比べて人種的に膵臓のインスリンを分泌する力が弱い体質であることが知られています。
欧米人に比べて日本人はそれほど太っていない方でも糖尿病になられるのはこのためです。
また祖父母や両親に糖尿病の方がおられる場合、糖尿病になりやすい体質が遺伝で引き継がれていることが多いです。
肥満は痩せれば良いのですが、インスリンを分泌する力が弱い体質を変えることは今の医療ではできません。
このように糖尿病は一度診断されると二度と治らない病気です。
糖尿病が医療の進歩で治癒できる日が早く来て欲しいですね。
糖尿病が治らない病気と聞かれ、まるで烙印を押されたかのように落胆される患者様がおられます。
本当にショックを受けられて当然だと思います。
特に患者様が小児1型糖尿病を発症された際は、ご本人、ご家族の「どうして私が?」「どうしてこの子が?」
「これからどうすれば良いの?」と受け入れがたい気持ちや不安な気持ちを抱かれます。
また糖尿病を診断し伝える医療者も辛い思いです。
ある患者様が糖尿病を悪友に例えて、仕方なくずっと付き合っていくしかないね、と言われたのは当たっているかもしれません。
私は「糖尿病は治らないけれど、癌のような病気と違って、自分でコントロールできる病気です。」とお伝えしています。
これは1型糖尿病患者のみで作られているチーム・ノボノルディスクというプロサイクリングチームのスコット選手が言われた言葉です。
糖尿病は糖尿病自体というよりは目や腎臓、神経が傷ついたり、脳梗塞や心筋梗塞で寝たきりになったりと、
糖尿病の合併症が私たちの人生に大きな影響を及ぼします。
一方できちんと血糖値をコントロールできれば糖尿病の合併症を予防、進行を防ぐことができます。
大変、辛いだろうなと思い込んでいた私は、糖尿病を自ら前向きにとらえ自分の夢を追い求めるスコット選手の言葉に目が覚めるような感銘を受けました。
そこで他の患者様に彼の言葉を伝えるようにしています。
糖尿病とどのように付き合って行くのか決められるのは患者様自身です。
私たちは糖尿病とともに歩む患者様のパートナーとして、患者様が糖尿病とうまく付き合っていかれるお手伝いをさせて頂きます。