元気な赤ちゃんを産むために|しまだ健やかクリニック|泉佐野市日根野の内科・糖尿病内科・漢方内科

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元気な赤ちゃんを産むために|しまだ健やかクリニック|泉佐野市日根野の内科・糖尿病内科・漢方内科

元気な赤ちゃんを産むために

いつもブログを読んで頂いて有り難うございます。

泉佐野市日根野の糖尿病内科「しまだ健やかクリニック」院長の島田です。

 

当院には多くの女性の糖尿病患者様が通ってくださっておられます。

様々なライフイベントに寄り添って治療のアドバイスをさせて頂いております。

その中でも大きなライフイベントあるいはご希望として妊娠と出産があります。

「糖尿病ですが妊娠して大丈夫なのでしょうか?」

「妊娠して産科で初めて糖尿病と言われました。」

「お腹の赤ちゃんのためにきっちり糖尿病を管理したいのです。」

このようなお悩みやご相談の声をお聴きすることがあります。

今回はとても大事な糖尿病と妊娠についてお話しさせて頂きます。

 

<妊娠中に血糖値が高いとなぜ良くないのか?>

お母さんにもお腹の赤ちゃんにも様々な障害を来してしまいます。

お母さん:妊娠高血圧症候群、早期産、羊水過多、難産など

赤ちゃん:流産、胎児死亡、奇形、巨大児、低血糖、黄疸など

またお母さんの糖尿病網膜症や腎症が悪化することも分かっています。

 

<妊娠中に血糖値が高くなるのはどんな方?>

もともと糖尿病をお持ちで妊娠された方、
ご本人は気づかれていなかったけれど妊娠が分かった時に実は糖尿病だったと明らかになった方、
そして妊娠糖尿病といって「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である」と分かった方があります。

 

<糖尿病の方が妊娠する前にしておきたいこと(プレコンセプションケア)>

元気な赤ちゃんを産むための準備は妊娠の前から始まっていて、とても大切なことです。
妊娠初期、特に色々な器官ができてくる(妊娠4~8週)の血糖値が高いほど先天奇形の出現率が高くなることが分かっています。
妊娠が分かってから取り組むと遅いので、妊娠前から低血糖を避けながら出来るだけ正常に血糖値を近づけておくことが大事です。

HbA1c<6.5%が推奨されており、7.0%未満が妊娠を許容できる目安とされています。

妊娠中は飲み薬やGLP-1受容体作動薬は赤ちゃんの安全性へのリスクから使用できませんので、インスリン療法への切り替えが前もって必要です。

前述しましたが網膜症や腎症が悪化する恐れが高く、眼科受診をお勧めし、腎症の進展度の評価は当院で行っています。

葉酸のサプリメントもお勧めです。

このような準備を行うためにも計画妊娠と避妊の必要性をご理解頂きたいと考えております。

大変な準備ですが、これらのケアを実践すると先天奇形、周産期死亡や低出生体重児のリスクを半分もしくは半分以下まで下げることが分かっています。

Wahabi HA, et al. PLOS ONE,18,2020

 

<妊娠中の血糖管理目標値>

健常妊婦さんの血糖値データを参考に目標値が決まっています。

空腹時血糖値は95mg/dl未満、食後1時間血糖値は140mg/dl未満、食後2時間血糖値は120mg/dl未満、HbA1c6.06.5%未満と厳しい数値です。

血糖自己測定のうち、フリースタイルリブレやDexcom G6 CGMシステムのような連続グルコースモニタリングシステムは特に有用です。
保険適応で使用できる方が多くおられますので、興味がある方はお気軽に当院へご相談ください。

 

<インスリン治療について>

インスリンは胎盤を通過せず、妊娠中の薬物療法はインスリン治療が推奨されています。

妊娠中で使用しても安全と確認されているインスリンとして、ヒトインスリン製剤、
超速効型インスリン(インスリンアスパルト、リスプロ)、
持効型インスリンアナログ(インスリンデテミル、グラルギン、デグルデク)があります。

産科で栄養相談を受けられることが多いですが、分割食やカーボカウントに応じたインスリンの打ち方、単位調整が必要です。

インスリンポンプの使用も検討する場合があります。

インスリンの必要単位数は妊娠16週付近に少し減りますが、その後どんどん増加し、36週以降に減ることが一般的です。

当院では個々の患者様に応じた治療をご提案しております。

 

<産後のフォローとケア>

出産後、母乳哺育中の薬物療法はインスリン療法となります。

胎盤排出とともにインスリンの必要単位がぐっと半分まで減少し低血糖のリスクが高まります。

妊娠糖尿病の方は将来的に糖尿病を発症するリスクが高く、産後612週後に糖負荷試験を受けることが勧められています。
その結果に応じて間隔は異なるものの、定期的に糖の異常がないかのフォローアップが必要です。

糖尿病のお母さんから生まれた子どもさんは将来肥満や2型糖尿病となるリスクが高いことが分かっています。

 

全てはご説明しきりませんので、更にご興味がある方は日本糖尿病・妊娠学会のホームページをご覧下さい。
https://dm-net.co.jp/jsdp/qa/a/q01/

https://dm-net.co.jp/jsdp/material.php

 

ご自身のことよりもお腹の赤ちゃんを元気に産みたいという強い気持ちで厳しい目標を達成するために日々治療に取り組まれる患者様にいつも心打たれています。
同時にお母さんとしての患者様ご自身はその分肉体的のみならず精神的な負担を抱えておられます。
当院では患者様が少しでも安心と自信を持って妊娠、出産に臨み、笑顔で赤ちゃんを連れてきて頂けるよう、
医師、スタッフ全員で一緒に取り組ませて頂きます。
産科との連携、出産入院先の糖尿病内科との連携もしっかり行っておりますので、是非ご相談ください。