起立!運動、着席。
- 2022年11月21日
- 運動療法
いつもブログを読んで頂いて有り難うございます。
日根野駅前「しまだ健やかクリニック」院長の島田です。
「運動が健康に良いのは分かっているけれどなかなかできない。」
という患者様が沢山おられます。
ジムへ行ったり、ウォーキングに出掛けたりと考えると
ハードルが高くて出来る自信が低くなりますよね。
でも、そんなことしなくても大丈夫です。
もっと簡単なこと、「立つ。」から始めましょうというお話です。
私たち現代人はパソコンの前に長時間座ることが多いですよね。
座っている時間が長ければ長いほど、あらゆる死亡率や
心血管病(狭心症や心筋梗塞)による死亡率が高くなってしまうことが
報告されています(Med Sci Sports Exerc. 2009;41:998-1005.)。
他にもがんによる死亡率、2型糖尿病や心血管病の発症を
増やすことも分かっています。
世界的にも座りすぎによる健康への悪影響が懸念されていて、
WHOから身体活動・座位行動ガイドラインが発表されています。
座っていると重力で血液が足下に引っ張られてきますが、
第二の心臓と言われるヒラメ筋(腓腹筋)がポンプのように
収縮しないため、上半身へ血液をしっかり送り返せなくなります。
そのためエコノミークラス症候群のような
脚に血がよどんで血の塊ができる病気になってしまいます。
また太ももの筋肉(大腿四頭筋)は大きな筋肉で
動かすとエネルギーをしっかり使って、血糖値が下がります。
しかし、ずっと座りっぱなしでいると太ももの筋肉を
使わないので代謝が落ちて太りやすく、糖尿病になりやすくなってしまいます。
特に私たち日本人は平均一日7時間座っていて、
世界20か国の中で最長であるという報告があります。
世界20か国の平均座位時間が5時間ですから日本人は2時間も長く
座っているんですね。
座りすぎによる健康障害をどうすれば予防できるでしょう?
やっぱり走ったり、歩いたり運動しなければならないのでしょうか。
そんなことはありません。
そう、まずは「起立!」、立てば良いのです。
運動の強度はメッツという単位で表されます。
座っている状態が1メッツとされます。
立って話しをするのが1.8メッツ、普通に歩くのが3メッツです。
立っているだけでも座っているより意外に強度がありますよね。
どれぐらい立っていれば死亡率が下がるのか明確なデータはありません。
しかし、糖尿病に関係することは分かっています。
・30分に1回は立ち上がる。
・立つだけも良いし、2~3分その場で歩いたり、軽い体操をする。
これで糖尿病になるのを予防できたり、血糖値を良くすることができます。
面白いことに30分に1回立ち上がり3分軽く運動するのを10セットする方が
30分間1セットだけ激しい運動をするよりも食後の血糖値がよく下がった
という報告があります(J Sport Health Sci. 2021;10:419-429.)。
立ち上がった時には伸びてストレッチするのも良いでしょうし、
踵あげをしてポンプであるヒラメ筋を刺激するのもOKです。
机の周りをぐるぐると歩いている患者様もおられます。
さぁ30分のタイマーをセットして、30分ごとに立ち上がり、
思い思いに身体を動かして、座って固くなった身体と一緒に
心もリフレッシュしてみましょう!
ちなみに当院では診察机や相談室の机を昇降できるものを選んでいます。
患者様に適した高さでお話したいという理由もありますが、
私たち医療者の健康増進目的でもあります。
普段は患者様が部屋を出られた後に起立して診療録の入力などを
しています。
ご希望でしたら、立った状態で、カフェのような?診察も可能ですので
お声掛け下さい。